はじめに
こんにちは!株式会社OHANAの杉本麗百と申します。
私は、OHANAの取り組みを世界に発信し、新たなパートナーシップや新規事業の可能性を模索するため、2023年6月9日~13日にオーストリアで開催された「ザルツブルググローバルセミナー」に参加してきました。今日は、そのご報告もかねて記事を書きます。
Salzburg Global Seminarとは?
このプログラムは、ヘルスケア、インクルージョン、モビリティの分野で活動するインド人と日本人60名がオーストリアに集結し、1週間泊まり込みで社会課題について議論し、新たな解決策を模索します。
選考に合格してから6か月間、毎月オンラインで会ってきた参加者達とオーストリアで初めてリアルで対面し、さまざまなアクティビティを通して相互理解を深めた後、チームを組んでプロジェクトを企画し、日本財団の代表の方を前に最終発表という流れでした。
政府、民間企業、メディア、国際機関、非営利団体、起業家、デザイナーなど多様な職種で活躍している参加者の方々と交流することができました。耳が聞こえない参加者が2名いましたが、手話通訳者が3名いて常に意見が取り入れられ、手話について参加者全員で学ぶ機会もあり、プログラム自体がとてもインクルーシブだったことに感銘を受けました。
パラス氏との出会い
このプログラムを通して、大きな出会いがありました。ゲームを通して子供の自閉症傾向を早期発見できるアプリを開発する株式会社Kidaura代表のパラス・シャルマ氏との出会いです。インドでは、子供の異変に気付いても、中々障がいを認めない親御さんも多く、医療機関での診断が遅れているそう。そこで、保育園や小学校で教員がアプリを使用することで医療機関の受診と早期発見につなげるために、このアプリを開発しているそうです。パラス氏と2人でチームを組むことになり、最終発表に臨みました。
同じ「自閉症支援」という分野で活動していても、全く違う知見をもつ彼から多くのことを学びました。彼は元々エンジニアで、アプリの開発やウェブ構築、AIや機械学習などの専門知識が豊富ですが、自閉症支援についてはまだ勉強中です。それに対して私は、テクノロジーの知見は皆無ですが、科学的根拠に基づいた自閉症支援の方法(応用行動分析、TEACCH、フレームワーク支援、PECSなど)を学び、現場で少しずつ実践してきました。彼は自閉症の子供、私は重度の知的障害を伴う自閉症スペクトラムの成人(強度行動障害あり)を対象にしたサービスを提供しています。福祉とかけ離れたように見える「ゲーム」を使うという彼のアプローチもとても興味深かったです。
同じ自閉症支援でも、国、制度、対象者、アプローチ、専門性、視点が違うため、彼と議論していて多くの発見がありました。
インドではソフトウェア開発の技術が進んでいるため、私が新しい解決策のアイデアを提案すると、「それはもうインドにあるよ」「それはうちの会社でもう試したことがある」と言って他会社の既存のプロダクトを見せてくれたり、すでにトライして失敗した理由も教えてくれました。
逆に、OHANAでの支援は彼にとって興味深かったようでした。OHANAでは、全ての利用者さまに、文字、イラスト、写真、具体物など、一人一人に合わせてその方に合わせた視覚的なスケジュールを提示しています。そのような支援は、彼にとっては新しい知見だったようです。
最終発表を終えて
最終発表では、自閉症の子供を持つ親が自宅にいながら最適な専門家とつながり、質の高い療育を受けられるオンラインプラットフォームをつくる、というテーマで発表しました。自閉症という理解されにくい障がいとその困難について聴衆に少しでも分かりやすく伝えるために、私の弟のことを写真や動画を見せながら初めて公の場で話しました。緊張しましたが、プレゼン後は「一番良かった」「心に残った」と日本財団の方や他の参加者から声をもらい、情報提供やアドバイスをもらいました。帰国してからも週に1回パラス氏と話し合いを重ね、ザルツブルク財団や日本財団からのサポートを受けながら、プロジェクトの実現に向けて動いています。
最後に
このプログラムに選んで頂いた財団の皆様、選考に合格してから全面的に応援して下さった佐藤社長、そして1か月私の不在中に業務を代わりに引き継いで下さった会社の同僚の方々には感謝してもしきれません。この学びを自分だけのものにするのではなく、より良い社会のために活かしていきます。
おまけ
プログラムには、世界各地から参加者と運営スタッフ含め80名ほど会場にいました。その方々に弊社のOHANAコーヒーを提供させていただく機会がありました!海外の方々から「美味しい」と言っていただけて良かったです。その時の映像をご覧ください。
※デスクトップ、タブレットで視聴される方は右下の全画面表示のボタンを押すと見やすいかと思います。
コーヒー生産者のストーリーを伝えました。
ポストカードも展示しました。
執筆者:
株式会社OHANA
杉本 麗百
2023年8月25日